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2024.02.07

当社独自二相ステンレス鋼NSSC 2120®(KSUS821L1)が一般貨物船に採用

日鉄ステンレス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井上 昭彦、以下「当社」)の省合金独自二相ステンレス鋼NSSC2120®(KSUS821L1 21%Cr-2%Ni-N)厚板およびNSSC2120®と普通鋼のクラッド鋼厚板が、矢野造船株式会社(本社:愛媛県今治市、代表取締役:矢野 均、以下「矢野造船」)が建造した一般貨物船「東進丸」のカーゴホールド(貨物を蔵置するスペース)の壁面と床面に採用されました。

これまで当該用途には一般的に防錆塗装を施した普通鋼が使用されてきましたが、貨物との接触により剥離した塗料の積載貨物への混入懸念のほか、剥離部の発錆等を回避するため、定常的に船員が剥離部の補修作業を行うなど現場の負荷が高く、また経年劣化に伴い全面再塗装等の大規模な修繕が必要でした。

このような課題に対し、矢野造船は汎用オーステナイト系ステンレス鋼SUS304を採用し無塗装化することで、メンテナンスに係る負荷及びコストと塗装による環境負荷の軽減に取り組んできましたが、今回SUS304と同等以上の耐食性を持ちながら、高強度で耐摩耗性にも優れると同時に、レアメタルの添加を抑えた「環境にやさしい素材」であり、高い価格安定性を有し、SUS304と同様にクラッド鋼厚板が製造できるNSSC2120®に切り替えることで、更なる長寿命化とライフサイクルコストの低減を実現しました。

当社の高耐食性独自二相ステンレス鋼は、これまで船舶向けとしてはケミカルタンカーの貨物用タンクに広く採用されてきましたが、本案件への採用は人手不足やカーボンニュートラルへの対応に頭を悩まされている船舶物流分野において、当社独自二相鋼が様々なソリューションを提供できることの現れであり、船舶関連用途における今後更なる二相鋼の普及が期待されます。

当社は、今後も地球環境に配慮した省資源型・高機能商品をはじめとする広範な商品ラインナップを、適材適所のソリューション提案と共に提供することで、様々な課題を抱えるお客様の商品価値向上に貢献して参ります。

【物件概要】

船主 トピー海運株式会社
造船会社 矢野造船株式会社
適用船 499総トン(G/T)一般貨物船
船名 東進丸
鋼材使用量 約80㌧(うち、クラッド鋼厚板約30㌧)

【写真】

東進丸全景
カーゴホールド

以上

(お問い合わせ先)

大阪支店ステンレス厚板室 06-4706-1188