お問合せ

2023.12.22

二相ステンレス鋼SUS821L1厚板へのTMCP技術適用による高強度・高硬度化を実現

日鉄ステンレス株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:井上 昭彦)は、省合金二相ステンレス鋼SUS821L1(21%Cr-2%Ni-N)厚板にTMCP1(Thermo Mechanical Control Process:熱加工制御プロセス)を適用する事で、SUS821L1の機械特性の更なる向上を実現いたしました。

当社の二相ステンレス鋼厚板は、その高い耐食性、高強度がもたらす軽量化及び省合金鋼としての価格安定性から、全国のダムや水門等の土木インフラへの採用が拡がっております。ダム等のコンクリート製河川構造物は、水流や土砂に晒される排砂路や放流管の底・側面等の摩耗が進行することで強度が低下し、機能が損なわれることから、従来は鉄やゴムでライニングされていましたが、これら部位についても、当社の独自二相ステンレス鋼の適用が普及しています。
当社はSUS821L1厚板にTMCPを適用する事で、通常のSUS821L1と合金添加量を変えることなく、加工に必要な伸びの下限を維持しつつ耐力・強度・硬度等の機械的性質を向上させるとともに、ステンレス鋼厚板の表面と内部の硬度差を一般的な製法より縮小することで耐摩耗性能を向上させることを実現し、河川構造物等のライニングの長寿命化によるライフサイクルコストの低減を可能としました。

SUS821L1-TMCPは、通常のSUS821L1に対し耐力が10%以上向上し、上位鋼種であるSUS329J4Lと同じ0.2%耐力≧450N/mm2の保証が可能であることに加えて、お客様のご要望によりJIS規格に規定の無い硬さ(ブリネル)の下限値を指定する事も可能となります。

当社は、今後も高品質なステンレス厚板による総合的なソリューション提案を通じて、長寿命で信頼性の高い土木インフラ整備をはじめとした国土強靭化に貢献してまいります。

【採用事例】 ※具体的な案件名は完工までは非開示

◇国内事例:3件
◇海外事例:1件

【概要】

材質 引張試験 硬さ試験
耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び
%
硬さ
HBW
SUS304 205以上 520以上 40以上 (下限規定なし)
SUS821L1 400以上 600以上 25以上 (下限規定なし)
SUS821L1-
TMCP(例)
450以上 650以上 25以上 250以上

1TMCPとは、主に普通鋼厚板で確立された製造方法で、製造時の圧下率と温度のコントロールにより、鋼材の強度や靱性等の機械的性質を高めることが可能となります。

以上

(お問い合わせ先)

商品開発部 03-6841-5290